大正から昭和初期にかけては、漁業が盛んで非常に景気がよく、このため
椴法華回漕株式会社も隆盛をきわめ、自社船として春日丸を購入し回漕業及び艀船業を経営していたが、下海岸道路が昭和七年に開通し、貨物自動車・乗合自動車が来村するようになると、貨物や乗客は陸路をとる者が多くなり、次第に我が世の春であった海運業もその勢を失っていった。かくて年代は明らかでないが春日丸では大き過ぎ経費も多くを要するので、これを売却し代船として「ふぶき丸」を購入し経営を継続したが、昭和十四年に至り経営難におち入り、ふぶき丸を売却し遂にその経営に終止符を打つことになった。
次に参考として昭和初期の出入船統計及び近村諸港への船賃、
椴法華回漕株式会社役員について記すことにする。
椴法華回漕株式会社役員
(昭和五年七月一日現在・官公吏・各種団体職員名簿より)
椴法華回漕株式会社
取締役社長 川口勇吉
取締役 松本六太郎
取締役 中村小吉
監査役 中島悦一
監査役 川口与之助
椴法華港統計 昭和四年村勢要覧より(1)
椴法華港統計 昭和四年村勢要覧より(2)