安い料金で遠方と自由に連絡できる郵便制度の便利さを知った村民は、一日も早く椴法華村に郵便局が開設されることを望み、村役人を中心に関係機関に対して開設運動を行っていた。この運動はやがて開拓使函館支庁の認めるところとなり明治十三年四月に郵便局が開設されることになった。
次に椴法華郵便局の開設準備期間中に記された開拓使函館支庁駅逓係と村役人との間に往復された文書を参考に当時を知る手がかりとしたい。
明治十二年各分署各区務所七重文移録(北海道蔵)は当時の様子を次のように記している。
明治十二年[各分署各区務所七重]文移録
駅逓係
(らん外朱)
七月廿一日入
(朱)第五十五号印
函館支廳 第十八大区一小区
駅逓係御中 副戸長 飯田 東一郎
駅百拾号ヲ以テ椴法花村ヘ郵便局開設相成候趣ヲ以テ取扱役之義御申越ニ付該邨用係ニ撰挙為致當人取調候䖏身元実体人柄且又少シク筆算等モ出来候者ニ付別紙撰挙状相添此段上申候也
十二年七月十七日
御請書
一 今般當椴法花村江郵便局御開設ニ相成候趣ヲ以テ相當之取扱人至急撰挙可申出旨御達有之候ニ付村中撰挙致シ候䖏荒木藤八ナル者相當之者ニ付同人動産不動産及ヒ身元保證人共取調別紙相添此段御請申上候也。
第十八大区一小区椴法花村
明治十二年 御用掛
第七月十六日 佐々木弥三郎