戦時下の警察制度

1055 ~ 1056 / 1354ページ
 昭和六年の満州事変、昭和十二年の日支事変、昭和十六年十二月の太平洋戦争へと時間の経過と共に戦時体制も強化の一途をたどったが、このような情勢の中で警察制度もまた従来の業務のほかに、経済警察をはじめとし防空・警防の面にまでその仕事が拡大されていった。
 次に昭和十九年七月における北海道庁の警察組織について記すことにする。
 道庁には長官官房・内政部・経済第一部・経済第二部・土木部・林政部・警察部とあり、警察部の下に警務課・警防課・情報課・特別高等課・外事課・輸送課・経済保安課・刑事課・労政課・国民動員課・保険課が置かれていたが、警察関係の各課はいずれも戦時色の非常に濃いものであった。
 なお次に主な課の業務内容を簡単に記すことにする。
 
  警防課 警防団関係(防空・水火災その他の警防に従事する)を主務とする。
  特別高等課 戦争遂行上の情報活動を担当。
  輸送課 陸上・海上輸送の統制業務を主務とし戦時輸送の強化をはかった。
  経済保安課 経済統制法による取締り、生産力の増強及び犯罪検挙を主務とする。
  国民動員課 警察部職業課の名称を改めたもので主として徴用・動員業務をおこなう。
 
 このような道庁警察部の戦時体制の強化にもかかわらず、戦争の激化に伴い警察官の応召が相い次ぎ、地方では警防団・青年団その他民間団体の協力を得ながら、治安維持に全力を尽くさなければならないような状態であった。