昭和十四年一月二十四日「警防団令」が政府によって公布され、これに基づき全国の消防団は警防団に改組されることになった。消防団を警防団と改組した理由は、従来からあった消防団は防空に対する訓練・設備が不充分であり、この点を改善し消防・防空の業務の充実並びに警察業務への協力体制の強化を計り、戦時下の非常時体制に備えようとするものであった。
次に昭和十四年四月一日、北海道庁より出された「警防団令施行細則及び施行細則説明」(要約)を記し当時の状況を知る手がかりとしたい。
北海道行政 昭和十四年五月号より
警防團令施行細則制定
警防團が消防組防護團を改組統合して設置さるべきものなるの趣旨に鑑み本令制定に當りても此の方針に則り両團體の有する特色の発揮と團結の強化とに留意し以て警防機関としての擴充強化を企圖し時代の要求に則應せんことを期せられた。即ち警防團の團體的精神方面に於ては我が國消防獨特とも稱すべき仁侠犠牲を主眼とせる消防精神に國家的意識を多分に加味せしめて之を警防精神と為し其の使命に於ては新時代の所産たる防護團の任務とせる國民防空の諸業務に消防組の管掌し來れる水火消防を取入れて防空・水火消防其の他の警防上の完璧を圖るに努められたのである。
警防團令施行細則
第一章 通則
第三條 警防團ノ名稱ハ其ノ設置區域ノ地名ヲ冠稱シ分團ヲ設クルトキハ第一分團第二分團以下順ヲ逐ヒテ之ヲ表示スルモノトス但シ水上分團ハ此ノ限ニ在ラズ。
第四條 警防團ハ其ノ設置區域ヲ管轄スル警察署長之ヲ指揮監督ス。(中略)
第五條 警防團應援ノ為出動シタルトキハ應援ヲ受ケタル地ヲ管轄スル警察署長之ヲ指揮監督ス
第六條 所轄警察署長(以下署長ト稱ス)ハ豫メ警防團ノ應援區域ヲ定メ関係市町村及警防團ニ之ヲ通知スベシ、署長ハ應援區域外ト雖モ災害ノ状況ニ依リ出動ヲ命ズルコトヲ得。
第八章 給與
第四十五條 團員ニ給與スベキ手當ハ署長ニ於テ市町村會ニ諮問シ之ヲ定ムベシ。
第四十六條 團員ニ給與スベキ手當其の他概ネ左ノ如シ
一、月手當及技能手當
二、出場手當及非番手當
三、年手當
四、辨當料(以下略)
附則
第七十條 消防組規則施行細則ハ之ヲ廃止ス。