大正十年二月椴法華から出漁した鱈釣船が遭難し戸井村に漂着する。このことについて大正十年二月六日付の『函館新聞』は次のように報じている。
○凍死者
漁船の漂着
三日午後八時頃戸井村字濱中宇美繁藏方の下なる海濱に一隻の漁船漂着し救いを求むる声に一同驚き救助せるに二人乗の磯船にて一人の若者は寒気に堪江兼ね船中にて凍死し、一人は人事不省になりしも辛ふじて救助され不幸中の幸なりし一人は椴法華の者にて同沖合に鱈釣に出漁中暴風と寒気の為め操縦意の如くならず運を天に任せて漂着せるものなり。
なおこの時期椴法華沖で遭難した時には、普通日高方面に向けて流されると云われているが、戸井方面に流されるのは、非常に珍しいことである。