川汲湯元の戦

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 軍監菰田元治は額兵隊員七、八名を引率して物見に湯元に近づく。
 川汲湯元に駐屯していた一個小隊の官軍は、湯治場を後楯にして小銃を連発してきた。一弾が兵士吉助のかついでいた銃把を貫通した。吉助は右手拇指に傷をうけた。
 斥候から「敵あり」との報せをうけて隊を進め、菰田らを先導させて湯元に突進させた。
 すでに官軍は湯元には一兵もなく、川汲峠の陣へ退いたあとだった。そして湯守の家族は村里に避難して一人もいなかった。