村会の任期は二年で全員改選した。村長が村会の議長をつとめるのは総代時代と同じであり、村会に村費の支出事業についての議決権はなかった。
村会議員の選挙権が住民に認められたが、選挙権、被選挙権の制限には厳しいものがあった。
資格は満二五歳以上の男子の戸主であり、一年以上同じ村に居住している者であること。納税額については、地租年額一〇銭以上、または直接国税、北海道水産税年額五〇銭以上納入する者。または、村税は平均額以上を納入する者、耕地一町歩または宅地百坪以上の所有者であることを資格条件としていた。
両村とも古い村会の議事録は保存されていない。
尾札部村役場は昭和二六年六月全焼して明治以来の公簿・記録・文書がほとんど焼失した。
臼尻村役場の公文書類についても戸籍簿・職員履歴綴のほかには公的な記録が残っていない。昭和二〇年八月以後、敗戦処理などで失われたものか、その所在はわからない。
市立函館図書館所蔵の各種の新聞や道内の年鑑などによって、ようやく戦前の村会議員の名簿を作成した。
新聞や年鑑の氏名は、意外に誤植が多いもので、明かに誤りとわかるものは訂正したが、正確を期しがたかった。
学校の沿革誌に拠ったものも多く、ために、氏名・定員・当選月日の異なることもありうる。
とくに明治三九年四月、二級町村制発足最初の村会議員の氏名は臼尻村、尾札部村ともに公文書で確認できなかった。