臼尻郵便局局長川村義広に所蔵されている大正五年と大正一一年の郵便区地図がある。この大正一一年の郵便区地図に、熊泊鉱山の自火発電所の記号と万畳敷模範林農耕地の正確で詳細な記録があった。農耕地は何線何号と縦横の区画があり、農家の配置もあるという丁寧なものであった。
今まで、道有林の地図と古老の記憶で描いていたものが、見事な地図のうえに再生される希望が生まれた。早速、旭川の田代久三翁にこの地図のコピーを送り、当時の記憶を蘇えらせてもらった。そして出来上がったのが模範林農耕地の地図である。
田代久三翁覚書きの農家の氏名は、大正九年と一一年の二枚に書き分けられている。大正九年と一一年の氏名の違いは、離農した後に誰かが移り住むことがあるのでその異動の故であるという。臼尻郵便局の二枚の地図は、古文書として七〇年余の歴史を復活させてくれたのである。