〔老養扶持の給与〕

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 明治四、五年、御達留によれば、開拓使は、函館市中ならびに近在に居住する八八歳以上の高年齢者一五名に対して、老養扶持として二人扶持を与えている。
 高齢者を救うことと親に孝養を尽くす範としての新政府の細かな配慮である。このとき郷土からも唯一人該当した臼尻村今吉母きよ未九〇歳が、巳年いわゆる明治二年己巳(一八六九)正月より老養扶持を贈られている。今吉は、熊村金沢今吉(文政元生・一八一八)のことで、きよの長男である。
 三太郎(安永生)今吉(文政元生)伊三郎(嘉永三生)島吉(明治六生)島男(明治三三生)とつづいた重金沢家の先祖三太郎の妻で、重金沢家の先祖のおばあさんである。老養扶持を贈られた明治二年のとき八九歳であるから、これを遡れば天明元年(一七八一)の生まれである。
 
鍛治町   佐々木作右衛門母よし  未九二歳 辰年四月より
尻沢辺町  吉崎富次郎母里ん    未九一歳 同
山上新町  南平助母みす      未九〇歳 巳年正月より
鷲木村   与右衛門        未九三歳 辰年四月より
鹿部村   子之助母みわ      未八九歳 午年四月より
臼尻村   今吉母きよ       未九〇歳 巳年正月より
茂辺地村  九右衛門祖母く免    未九二歳 辰年四月より
藤山郷   源右衛門母さつ     未九一歳 同
大川村   平左衛門母いよ     未九〇歳 未年正月より
掛澗村   傳吉          未九四歳 辰年四月より
尾白内村  金兵衛         未九四歳 同
七重村   松之助母里ん      未九一歳 同
大野村   佐五兵衛母多(た)ん   未九〇歳 巳年正月より
鷲木村   藤助          未九〇歳 同
同     五兵衛         未八九歳 午年正月より

(表)長寿者名簿 (昭和六〇年一月一日現在) ※昭和六〇年内に迎える満年齢