石頭(シャバ)の火

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銚子ノ岬の石神(シュマカムイ)には、アイヌたちが夜舟で沖に出ていて、雲霧(ウラリ)(きり)が深くなり、行き先がわからなくなって舟路を迷ったとき、アイヌは木幣(イナオ)を作って、岬の石神に祈りを捧げる。すると石神の石頭に火がもえるのが見えるので、その火を目標(しるべ)に舟を操って無事に帰えることができると伝えられていた。
                                        『えぞのてぶり』
 
 夜舟のるに、雲霧(ウラリ)などのいとふかく、そこと行なん方もしられぬ空にまよふ舟路に、木幣作(イナヲカル)してこの石神(シュマカムヰ)をいのれば、シユマカムヰの石頭(シャバ)に火(アベ)なんたちぬ。
                                         『えぞてぶり』