解題・説明
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「亀田川ニ而異人洗濯之図」「箱館一番観音峰より澗内眺望之図」の題がある巻頭の二図をはじめ、外国人、蒸気船と帆船、南部藩の陣屋平面図、箱館の町の図からなる。はじめの二図とそのほかの図の作風はだいぶ異なり、もとは別々のものであった可能性がある。はじめの図は安政2年(1855)にフランス軍艦シビル号の乗務員が疫病のため上陸し、亀田川万年橋附近で洗濯などをしているところである。図に描かれている津軽陣屋は現在の千代台公園の場所にあたる。なお当時の亀田川は現在より川幅も広く、また川の流れも今とは異なり、万年橋は現在の万代跨線橋近くにかかっていた。本巻に描かれている外国人は、蒸気船と帆船の図にイギリスの旗が掲げられていることからイギリス人であろうか。船の図の後に続く平面図は南部藩陣屋である。寛政11年(1799)幕府の命により蝦夷地を警備することになった南部藩が設けた最初の陣屋は、文政4年(1821)に一度廃止されるが、安政2年(18854)再び蝦夷地警護を命じられ元の場所に改めて建設された。平面図はその際のものである。慶応4年(1868)に南部藩は蝦夷地を撤退し陣屋は役割を果たした。陣屋跡は函館市元町にあり現在ではロープウェイの駐車場になっている。
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