解題・説明
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浜松商工会議所が、工場誘致のために作成した地図ではないかと思われる。地図には、赤く色付けされた箇所が14あり、表でその位置(町名)と坪数を記している。赤く色付けされた工場適地と思われる箇所は、佐藤町や木戸町、中島町等のほか、曳馬村にも及び、浅田町は位置・面積を指定せず、耕地整理の整理区域内は可としている。大正9年(1920)の株式大暴落、大正12年(1923)の震災恐慌、昭和4年(1929)からの世界恐慌と相次ぐ不況の中で浜松地方の産業も停滞を続けていたため、工場を誘致して市勢を盛り上げようとしたのではないか。また、地図には浜松市が社会事業推進のために建設した公共建物を確認できる。市営住宅を広沢町、鴨江町、佐藤町等に、米や麦等の生活必需品を販売した公設市場を常盤、三組等に、安価で食事を提供した公衆食堂を田町の職業紹介所の隣に見ることができる。その他、官公署、学校、神社、寺院、郵便局、銀行、工場等を記している。
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