解題・説明
|
副題の「大正博覧会記念」とは、大正天皇の即位を祝って大正3年(1914)に東京府が主催した博覧会である。日本初のエスカレーターやロープウェイ、国産自動車などで話題となった。この「浜松案内」は、大正博覧会の見物客を浜松に呼び込む目的で発刊された。巻頭言には「旅者の必要具は豈只に皮鞄洋傘の類のみならんや杖の向ふ処先づ其の案内記を繙くより便なるはなし」と記している。付図「浜松市街之図」と、浜松市の歴史から始まり、郊外の奥山半僧坊や岩水寺、舘山寺への距離、五社神社や諏訪神社などの有名な神社、仏閣、名所、古跡、学校、重要産物、金融機関、会社工場、主な旅館や料理店を多くの写真と共に紹介している。巻末の「商工人名鑑」は、酒類 肴町(醤油洋酒) 間淵商店や自転車 新町 御園井十七蔵のように商売ごとに、町名と商売人氏名または企業、商店名を記している。発行者は浜松商業会議所内浜松協賛会、編集兼発行人は桑原久次郎と関川美建である。
|