解題・説明
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慶應四年二月二十九日の、大総督宮の天竜川渡岸の警衛に当たった報国隊(川西隊.川東隊)の様子を描いた絵図。 「遠州報国隊」は、幕末の激動のなか、有栖川宮熾仁親王を大総督として、徳川慶喜追討のため江戸に向った官軍に同行・協力するため、神職を中心に結成された有志隊である。その背景には、杉浦国頭から始まり、賀茂真淵によって大きな広がりをみせた「遠州国学」があり、国学を学んだ人々が、江戸時代後半から幕末にかけて多く現れた。彼らによって結成された「遠州報国隊」は官軍とともに江戸へ向い、江戸城周辺の警備や上野での彰義隊との戦いに参加した。 明治元年十一月四日、帰国命令が出された後、隊員たちは帰郷する者と東京に残留・移住する者とに別れ、帰郷した者や在郷の者は、地域の神社の神職や重要な役職に就くなど、地域貢献に努め、東京に残留・移住した者は、大村益次郎のもとで東京招魂社の創建に携わり、明治政府の中で勤務するなど、それぞれの道を歩んでいった。 参考文献:「遠州報国隊 知られざる幕末尊王志士たち」発行/浜松市博物館
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