古くは引馬の宿ととなえられた浜松の地は、城下町、宿場町として栄え、明治、大正、昭和と伸巾も著しく、東海道屈指の商工業都市として大きな発展をみるにいたりました。さらに戦後二十余年、近接町村の合併も順調に進み、いまや広域都市としての構想も着々として実現の運びとなりつつあります。
こうした市勢発展のあゆみを知るための市史の編さんは、市民のひとしく期待してきたところであります。その熱望にこたえ、本市は新しい時代にふさわしい市史の編さんを企画し、まず、しだいに失われていく史料保存の意味も加えて、さきに浜松市史史料編全六巻の発行をみました。
この史料編刊行のあとをうけ、ついで通史の編さんを行なうこととなり、事業に着手いたしました。御委嘱申しあげた執筆の方々には、史料編を基礎とし、また苦心収集された史料を用い、なみなみならぬ御努力の結果、ここに浜松市史第一巻の刊行をみるにいたりました。まことによろこびに堪えないところであります。この市史が、浜松の礎をかためてきた先人の努力をしのぶ資料となり、よりよい明日の浜松市を築くための指針となることを念願してやみません。
いま、市史第一巻が成るにあたって、この事業のため終始御指導をたまわった、監修兼顧問の、東京大学名誉教授坂本太郎先生をはじめ、御執筆をいただいた諸先生に厚く御礼を申しあげ、あわせて貴重な史料を快く提供された方々、ならびに御協力にあずかった関係各位に対し、心から感謝の意をささげ、なお今後一層の御指導と御支援をおねがいするしだいであります。
昭和四十三年三月十日
浜松市長 平山博三