東日本の骨骼をなす蝦夷山系・奥羽山脈などは南北に走っているのに対して西日本の脊骨である九州山地・中国山地・四国山地・紀伊山地などはいずれも東西に走っている。前者が北彎山系で、後者が南彎山系であり、その両山系が出あうところが中部地方で、すこぶる高峻な山地が全面にひろがって「日本の屋根」と呼ばれている。中央部は海抜三千メートル級の山地で飛驒山脈という。主脈の方向は南北で、北方は日本海に急に没している。南部は高度をしだいに減じて美濃三河高原となる。飛驒山脈に並行するように木曾山脈が南北方向から南部に向かってしだいに方向を西南に変え、また高度を減じて美濃三河高原につづく。さらにその東方に並行して赤石山脈があって、これも北方は南北方向をもつ山地であるが、南にのびて方向を変え西南方向に移行し、同時に高度を減じ渥美半島に点々と山体をみせ、伊勢湾の入口で切られ、志摩半島から紀伊山地に連続する。この三つの山脈の東あるいは東北端は急斜面でほとんど直線状に区画されて日本海岸の糸魚(いとい)川から松本盆地を過ぎ、諏訪盆地を通り甲府盆地に達し、その南端は静岡である。この糸魚川・静岡構造線が日本列島を南北に横断して東日本と西日本とに区分する。
南彎山系の東端が方向を変え、しかもすこぶる高峻になっているが、そのさらに東は急に落ち込んで日本海から太平洋へとつづく凹地になっている。これをフォッサマグナと呼んでいる。この凹地の西境は、谷や盆地がつづく糸魚川・静岡線で、はっきりしているが、東側の境である直江津・国府津線はやや不明瞭である。この凹地帯の中を富士火山帯が走っている。
この凹地帯の東では、関東地方との境界をなす関東山地があり、また長野・新潟両県と群馬県との県境に三国山脈があり、この山地には多くの火山が噴出して一層山地を高くし、上信越高原と呼ばれる火山性高原をもっている。
【浜松】このように北彎山系・南彎山系・富士火山帯が三つ巴となって出あい、渦巻状になっている地形の近くに位置を占めているのが浜松地方である。