砂丘

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 【中田島砂丘】とくに中田島海岸には見事な砂丘が発達している。この砂丘も従来は、海岸に形成された飛砂による海岸風成砂層より成る海岸砂丘から発達したものと考えられていたが、台場付近の砂丘断面を見ると砂層中に貝を多く含んでいる層があり、この砂丘層は風成でなく、海中において堆積した砂層が陸上へ現われたことを示している。したがって前述の海中沿岸州の生成と関連づけて砂丘の解釈をしなければならない。すなわち、
 
(1)遠州灘沿岸に発達する砂丘地形の成因は、まず、主として天竜川によって内陸から運搬された物質や海蝕により崩壊した物質などが、沿岸流によって、浅海底に運ばれ、狭長に堆積して、海面下に沿岸州を形成した。遠州灘海岸は外洋性多段式バー海岸であるから、こうした沿岸州は数段の発達をみたであろう。
(2)このようにして浅海底に形成された沿岸州は、やがて海退にともなって海面上に姿を現わし、砂丘の基底をなす砂堤を形成した。
(3)砂堤が形成されるや、風波の営力による飛砂が堆積し、砂堤をおおって砂丘が発達した。

遠州灘海岸の砂丘(浜松市中田島町)