浜松市域の東境をなしている天竜川は、その源を長野県の諏訪湖に発し、伊那谷を南流して天竜峡以南で赤石山脈を横断する先行河川となり、二俣付近で山地をはなれるさい三方原・磐田原の広い扇状地をつくって、その間を流れ遠州灘に注ぐ。延長二一六キロ、支流を加えた全流長二二二四キロ、その流域面積は約四八八〇平方キロを有し、長野・愛知・静岡の三県にまたがり、わが国では有数の流水量の多い川である。天竜川の本支流四か所について一〇〇平方キロあたり平均流量を示すと第3表のごとくである。これは一〇〇平方キロの単位流域面積あたりの各種流量を求めたものであるから、これをもとにして天竜川水系全域の流量を算定することができる。このようにしてえた天竜川の推定渇水量は七一・七八m
3/秒、また推定年平均流量は一九五・七八m
3/秒であるが、これらを県内の天竜水系でいうならば、前者は一三・五二m
3/秒、後者は四四・八八m
3/秒である。ちなみに天竜川左岸の伏流水賦存量は三〇〇千m
3/日といわれている。【佐久間ダム 秋葉ダム】この水がかつては榑木の筏流しに用いられ、満水しては川留となって東海道の通行を妨げ、洪水となっては堤防を破り田畑などに被害をおよぼしていたのであるが、いまは佐久間や秋葉で堰止められて発電に利用され、またこの川から導水して工業用水や農業用水となっている。
(表)第3表 天竜川本支流100km
2あたり平均流量 (単位m
3/秒)
天竜川本支流(測水地) | 最大 | 豊水 | 平水 | 低水 | 渇水 | 最小 | 年平均 |
大千瀬月 (浦川) | 154.00 | 5.41 | 2.60 | 1.30 | 0.56 | 0.41 | 5.95 |
水窪月 (水窪) | 131.00 | 7.07 | 4.47 | 2.71 | 1.56 | 4.34 | 6.82 |
気田川 (門桁) | 157.00 | 9.81 | 5.27 | 2.95 | 1.82 | 1.60 | 9.45 |
天竜川本流 (鹿島) | 60.95 | 6.11 | 3.73 | 2.41 | 1.32 | 0.77 | 7.35 |
〔備考〕
最大流量:1年のうちで日流量の最大のもの
豊水量:1年を通じて95日間はこれを下らない程度の流量
平水量:1年を通じて185日はこれを下らない程度の流量
低水量:1年を通じて275日はこれを下らない程度の流量
渇水量:1年を通じて355日はこれを下らない程度の流量
最少流量:1年のうちで日流量の最小のもの
年平均流量:1年間の日流量の総計をその年の全日数で除したもの