浜松市域の北方を流れる都田川流域の山地は赤石山脈が西南に低下する老年期の地貌を呈し、秩父古生層で構成され、チャート・石灰岩・輝緑凝灰岩・砂岩・粘板岩などが東北東ー西南西に帯状に分布している。これらのうちチャートはもっとも分布がひろく、舘山寺の勝景をつくっている。また石灰岩は岩水寺・滝沢・三岳・白岩などにおいてレンズ状の岩体として分布し、セメント・石灰の原料として採掘されている。二酸化炭素を含んだ水に溶かされて特異な風化面を形成する。三岳山東方の岩峯はこれである。【鐘乳洞】岩水寺や滝沢には鐘乳洞がみられる。【浜北人骨 只木人骨】浜北市根堅や三ケ日町只木に発見された洪積世人骨はこうした石灰岩地に保存されていたものである。古生層山地のところどころにマンガン鉱が賦存している。細江町向山黒姫鉱山はその例である。古生層山地の北側には御荷鉾糸の緑色岩類があり、さらにその北側に結晶片岩類がある。珍しいのは引佐町伊平付近に存在する伊平層と呼ばれるもので、おもに粘板岩および砂岩から構成され礫岩・チャートなどをふくんでいる。これは周囲を断層で境された中生層である。【都田川】こういった地質構造にほぼ直交して流れるのが都田川であるから、この川の流域を歩けば北部山地の状態をもっともよく知ることができる。
都田川流域の山地(浜松市滝沢町)
都田川の渓谷(浜松市滝沢町)