そこで湖内外の潮の流れの状態をみよう。まず湖外の潮流について一瞥すると、黒潮は遠州灘の沖合を西から東へ向かって流れ、沿岸では黒潮の反流が御前崎付近から西に向かって流れ、これが湖内に入って来る。逆に湖内から出る場合は主として渥美半島方面に流れてゆく。【新居 舞阪】今切口から湖内に入ってきた潮流は、鉄道南側の中央にある約六五万平方メートルの碇瀬によって二分され、新居側と舞阪側とにわかれて流れるのであるが、新居側の方がはるかに強く、その勢力分野は七対三程度である。新居側の潮流は第三鉄橋下を通り、湖内中央近くに存在するゼゼラ瀬によって二分され、村櫛西岸を通るものと、鷲津・新所を経て奥部に向かうものとになる。舞阪側から第一・第二鉄橋下を抜けた潮流は、おもに庄内湖に向かい、一部は雄踏橋方面に向かう。【庄内湖】庄内湖は閉鎖湖であるから、ここへ入った潮は停滞する。このことがプランクトンの繁殖に役だち、ひいてはカキの身入場として利用されている原因ともなる。湖北は深くなっているので潮は全面的にひろがって流れる傾向がある。【舘山寺内浦 松見ヶ浦】そして舘山寺内浦では大草山側より入って時計的廻転をして出てゆき、西側の松見ヶ浦では反時計的廻転をなして一巡する。