季節風

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 他県人が浜松にきて、いつも口にだす言葉は、浜松は温暖な土地で住みよい、ということである。さて、温暖な気候を表わす条件としてはつぎのようなことが考えられる。
(1)冬季の気温が高く、(2)その割りに、夏季の気温の方はあまり高くないこと、つまり(3)冬季と夏季との気温の年較差が大きくないこと、また(4)日々の最高、最低気温の差があまり大きくないこと、などをあげることができる。
 浜松の気温を、まず大きく定めるのは、浜松のおかれている緯度である。元来わが国は世界中でもっとも広い陸地ユーラシア大陸と、もっとも広い海太平洋との境に位置しており、しかも中緯度にあるから、わが国付近の気象の変化は目まぐるしく、また一年中の気候変化の幅も大きい。冬はアジア大陸の高気圧から北西の季節風が、また夏は太平洋方面の高気圧から南東の季節風がわが国へ吹きわたってくる。北西の季節風は寒帯の大陸気団、すなわち寒冷で乾いた空気を吹き送り、南東の季節風は熱帯の海洋気団、すなわち高温で湿潤な空気をわが国へ吹き送ってくる。つまりわが国は、わが国が位置している緯度不相応に冬は寒く、また夏は緯度不相応に暑くなるから、一年中の気候変化の幅が大きくなるのである。浜松付近の気候ももちろんこのようなわが国の一般状態の外にでるものではないが、とくに浜松付近の冬の気候はわが国の中でも、かなりに特徴的なものをもち、浜松の冬はわが国としては温暖の方であり、浜名湖畔(当市馬郡町)では越冬ツバメの群さえみられるのである。

浜名湖畔の越冬ツバメ