日照時間の年変化は、県内一般には八月に最大が現われており、最小は秋に現われている。夏季は昼間が長いので自然日照時間も増すのである、ところが浜松では八月が最大であることはもちろんであるが、これについで冬三か月が多く、十月が最小である。とくに注目すべきは浜松付近における冬の日照時間で、わが国における冬季最大日照時間を示している。新潟や金沢など裏日本方面の冬季日照時間に比べると、実に三~四倍の多きに達している。冬季のわが国全般の日照時間の分布をみると、浜松付近から北北東に向かい山梨県を経て関東地方の北西部にいたる地帯は冬季全国中で最大の日照時間に恵まれている地域になっている。わが国冬季の気候は表日本に良く、裏日本に悪いことはよく知られている事実であり、表日本の良好な天気は北西の季節風が脊梁山脈を越えると乾燥した風となって表日本へ吹きおりてくるためで、この北西の季節風に対して飛驒・木曾・赤石など本州中部に並ぶ諸山脈の風下側に位する前記の地帯が冬季わが国における最良の好天気に恵まれるのである。