降水量の季節的変化をみると第8表のように一月が最小で、六月と九月とが最大である。冬に雨が少なく快晴の日が多いことは前述のとおりであるが、六月の多雨は梅雨期のため、また九月の多雨は秋霖期になっているためで、当地方の二つの大きな雨期を代表している。また各月の降水量の地域的分布の様相は前述した年降水量分布の大勢と同じであって、ただその絶対量がちがうだけである。北に向かって長野県境にいたれば三〇〇〇メートルに達する赤石山脈が聳えており、雨はこれら県の北西部一帯の山間に多量に降り勝ちであるから、天竜川は短期間にいちじるしく増水することがあり、下流の河幅は増大しているが、平時には網目状流路を現わしており、増水すると河幅一ぱいに水が満ち、時おり洪水となる。
(表)第8表 浜松の降水量
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 全年 |
降水量(mm) | 56 | 77 | 134 | 181 | 180 | 253 | 204 | 202 | 279 | 184 | 111 | 72 | 1933 |