西風となる季節風

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 浜松地方を特色づけるものは冬の空っ風で、これは強い西風である。冬はわが国全般についていえば北西の季節風が卓越し、日本海方面から太平洋へ向かって北西風が吹き通すのであるが、静岡県においては、これとは少し様子が異なって、県内各地では一般に西風が卓越するのである。しかも平均風速は約五メートルであって、夏の平均風速三・五メートル前後よりは強い。(第9表)
 浜松地方を吹きわたる西風を逆に風上の方へたどってゆくと、この風は若狭湾から濃尾平野を通って伊勢湾に出で、渥美半島を経て遠州方面へやってくる。つまり遠州では西風となって吹くのである。この西風は東に延びて伊豆の南部を通り、大島の南沖合を経て房総沖にまで達している。このような特殊な吹き抜けのルートができるのは、本州中部に山岳地帯があって北西風の自由な本県への流入をせきとめているために、季節風が廻り道をして西風となって吹いてくるのである。【御前崎】御前崎はこの吹き抜けのルートに近いので冬季の平均風速は八メートル前後に達していて、冬季表日本の平地における最大の値を示しており、暴風日数は一か月のうち二十日以上にもおよんでいる。御前崎に芋切干の盛んなゆえんである。
 
(表)第9表 浜松の風
123456789101112全年
平均風速(m/s)4.94.84.84.33.73.63.33.43.33.33.54.53.9
最大風速(m/s)16.818.018.418.015.218.417.118.026.418.516.519.026.4
仝上風向WSWWNWWNWESEENESSSESSEENEWSSE
暴風日数(日)1515141175243481199


西風をふせぐホソバ垣(浜松市中郡町)