災害の大きい九月

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 秋のはじめは台風のシーズンである。この台風の襲来数は、九月でも七、八月と大差はなく、むしろ八月に比べてかえって少ないのであるが、風速や雨量の点では七、八月の台風にまさり、したがって九月は一年中でもっとも気象災害の大きい月となっている。時には雨が非常に少なく海面からしぶきとなって飛んでくる塩による塩風の害が大きく現われることもあって、昭和三十六年の第二室戸台風のさいは塩害は海岸線より二〇キロ近く隔たった都田地方にまでおよんでいる。十月になると台風の経路はしだいに東にかたよって東方洋上を北進し、直接わが国に上陸することはほとんどない。一方このころしだいに勢いを増している大陸性気団が移動性高気圧となって、台風の後に流れ込み日本にくるので、台風一過の秋晴れの天気が現われるようになる。そして秋は深まってゆくが、風速は春と同じように弱くなる。十二月にはいれば、大陸の高気圧は固定してきてすでに冬の気候となり、追々西風が吹きすさむようになる。
 平地における風向は右に述べたように四季折々に変化するが、とくに卓越するのは西風である。