風水害とともに虫害も自然災害として見のがすことはできない。しかし虫害は風水害のようにはででなく、直接には農作物の被害にとどまるので、実際には多く発生したと思われるが、記録に残ったものははなはだ少ない。つぎに二、三の例を掲げておく。
都田村年代手鑑(『浜松市史史料編二』)の中に、
元文三年(一七三八)田方うんか虫付、大凶年に有之候、
また
寛保元年(一七四一)近村共大分之雲霞に付、悪年に候て、定免之内、米上下へ百俵被下、五十俵づつわけ申候、
伊場村御用書留帳(『浜松市史史料編四』)には、
宝暦十年(一七六〇)、当村田方草生之内より段々雲霞虫附申候に付、於村内色々祈祷仕候得共、不得止大痛に罷成候、依之先達て皆無、皆無同前又は大痛之場所、書付を以申上置候、
というように、虫害により田方が不作になったので、年貢米の破免願を出している。