日本列島の洪積層と呼ばれる古い地層から、人間が加工したと考えられる石片、つまり石器が発見されることがある。洪積層というのは、いまからおよそ一万年以前、二百万年以後の間に堆積した地層を指している。この地層が堆積しつつある間に、地球表面の気温が今日よりも六度ないし九度も低下して、このために陸地が広く氷河におおわれたことが、少なくとも四回はあったといわれている。これを氷期という。氷期と氷期の間は、間氷期と呼ばれて今日よりやや暖かだったとされている。こうした氷期と間氷期が、何度か繰り返された時代を、地質学では洪積世といい、その時代の堆積物を洪積層と呼ぶのである(小林国夫『第四紀(上)』、湊正雄・井尻正二『日本列島』)。