昭和にはいってからも学者の来訪は多かったに違いないが、文献に現われた限りにおいては、ほとんど空白に近い状態であった。それはちょうどしだいに深刻化しつつあった、日本の暗い世相を反映しているかのようであるが、その中で『静岡県史』(第一巻)の発刊は刮目すべきことであった。その発行は昭和五年(一九三〇)であるが、これに先だって県史編纂委員の地道な踏査活動があった。蜆塚遣跡についても、従来の踏査や調査の結果が集大成された形でまとめられ、その後の地方研究者の基礎文献となった。
静岡県史の刊行