土器は粘土をこねて作るから、各種各様の形を自由に作出することができる。また、器面が柔らかなうちならば、そこには千差万別の文様を創出することも可能である。このように土器はそれを作る人の意志によって、いかようにも変化し得るものであり、実際に縄文土器をみると、じつに多様性をもっている。
ところが、一見無秩序に思われるほど多様性を示している土器も、これをつぶさに観察し、ある種の分類操作を施して整理すると、多種多様、千差万別の姿をとおしてかなり整然とした秩序のあることがわかっている。この点に着目すれば、縄文時代を縄文土器の変化によってこまかく時期区分することができる。土器はまた観方をかえると、その時代の必需品であったが、同時に消耗品だったから、短期間でこわれて捨てられる場合が多かったと考えられる。そこで、同時に使われた器がどれとどれであったか、つまり器としての組みあわせをつかみやすいという利点も備えているのである。