第九期

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〔第九期〕この時期にはまた大きな変化が現われている。まず第七・八期に顕著だった巻貝による沈線文や、第八期にみられた巻貝の条痕は、まったくなくなり、かわりに二枚貝の腹縁による条痕が登場した。文様の中心は、口縁部をめぐる三角形文と凸帯であるが、それは一口では説明しきれないほど多様性を帯びてきている。これは、他地域の土器がひんぱんに交流してきたための結果とみられ、土着の特徴を浮き彫りにすることがむずかしい段階になったことを示している(第3図91~96)。
 以上九期に区分された時期は、日本全体の縄文土器変遷過程にてらしてみると、どのような位置を占めるのであろうか。それを第2表に示してみよう。こうして、蜆塚遺跡の営まれた時代の中心は、縄文時代後期にあったことを知ることができる。
 
(表)第2表 蜆塚遺跡の年代尺度
蜆塚遺跡年代の大別
早期
前期
第一期前半中期
後半
第二期前葉後期
第三期
第四期
第五期中葉
第六期
第七期後葉
第八期
第九期前半晩期
後半