植物性食糧

113 ~ 113 / 706ページ
 植物性のものは、生食できるものが多いが、木の実は粉食したらしい。中でもドングリは、渋が強くてそのままでは食用にならない。渋ぬきの方法はいくつかあるといわれ、現在でも備荒食として食用にしているところがある。長野県曾利遺跡では、パン状に焼いた実例が発見されている。詳しい研究によると、餅状に固めたものを焼いたものだということである(藤森栄一編『井戸尻』)。また縄文時代には古くから石皿と叩石という二種類の石器が使われていたことがわかっている。これは製粉の道具だと考えられる。蜆塚遺跡からも、いくつかの砂岩で作った石皿が発見されている。叩石もでているので、これは一応木の実を粉にする道具としてよいだろう。ほかになお、凹み石と呼ばれる石器がある。従来発火器の一部だと考えられているが、これもクルミの固い殻を割りとる道具だとも推定され、植物性食糧の調理具の一種に入れるべきだと思う。