[貯蔵法]

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 蜆塚遺跡においては、貯蔵施設として確かなものはない。ただ住居跡に接して埋葬施設とは別のピット(掘り込み)が検出され、その中にシカの骨の入っていた例と、イノシシの骨が検出されたものとがあって、それぞれ「鹿ピット」・「猪ピット」と仮称された。これを貯蔵施設として認めてよければ、蜆塚ではシカやイノシシが保存食糧になっていた証拠となろう(浜松市教育委員会『蜆塚遺跡』その第三次発掘調査)。
 保存食糧を多く貯えることができたかどうかという点は、その社会における生活の安定性を示す重要な証拠となるわけであるが、蜆塚遺跡ではまだこの点に関しては不明というほかはないであろう。