弥生文化は前・中・後三時期に区分されている。前期弥生文化を特徴づけるのは、遠賀川式土器と総称される弥生式土器である。前期弥生式土器がとくに遠賀川式と呼ばれるのは、この種の土器が福岡県の遠賀川流域で注意され、それとほとんど同じ特徴をもつものが、西日本一帯に分布することが知られたからである。こまかな点にまで注意すれば、九州のもの、中・四国のもの、近畿のもの、東海のものはそれぞれ少しずつ相違するところはあるが、むしろそうした微細な差異をこえて強い斉一性を示すところに、遠賀川式という呼称が用いられるゆえんが存するのである。