[銅鐸文化圏]

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 全国に三百余口といわれる銅鐸は、近畿地方を中心として北九州から北関東におよぶ広汎な分布を示している。このうち北九州と北関東の例は、銅製とはいえ、銅鐸の模造品ともいえるような高さ一〇センチメートル未満の小形品である。また静岡県下で発見されている二例の小銅鐸(静岡市有東出土品と駿東郡原町陣ケ沢出土品)も、特殊なものである。そしてこれらのとくに小形品を別にしてみると、通常の銅鐸は、西は山口県から東は長野県と静岡県西部までの範囲に分布し、銅鐸分布圏として取り上げられるわけである。これに対して、北九州を中心として瀬戸内地方以西には銅剣と銅鉾がとくにいちじるしい分布を示しているので、この地域は銅剣銅鉾分布圏とも呼ばれている。そして銅鐸の分布圏は、櫛描文土器の盛行した地域と重なり、近畿地方を核とする一つの文化圏を形成するものと考えられている。

第24図 弥生時代後期の地域圏(上)と銅鐸分布圏(下)