また、古墳といえばただちにその具体的な姿が頭に浮かんでくるというほど規格性のあるものではない。厳密には、一基一基それぞれ皆違っているともいえるのである。そこで、古墳について若干の説明をしておく必要がある。まず古墳は外形からみて、前方後円墳(方形と円形の墳丘がつながったような形状をなすもの)・前方後方墳(前方後円形の円形の部分が方形になっているもの)・双方中円墳(円形の墳丘の両脇に方形部分がついているもの)・円墳(平面形が円形をなす土饅頭形のもの、大きいものは截頭円錐形をなす)・帆立貝式古墳(円墳に小さな方形部がついて帆立貝に似るもの)・方墳(角錐台状の墳丘をなすもの)・上円下方墳(方墳の上に円墳がのった形のもの)などに分類されている。これらの内そのほとんどは円墳であって、浜松市内の三方原古墳支群を例にとると、九六パーセント弱が円墳、残り四パーセント強が前方後円墳という状態である。円墳についで、数は少ないながら前方後円墳は大体普遍的に分布しているようであるが、その他のものは数もまれでありその分布状態も特殊なあり方を示している。
【周濠】古墳の外周には濠のめぐるのを整った例とする。これを周濠と呼び、周湟または周堀とも称する。周濠と書いても、必ずしも墳丘を全周するとは限らない。また周濠を欠く例も新しい古墳には多い。【葺石】墳丘面には葺石といって、礫を一面に敷きつめることがあるが、新しい古墳ではこれを省略するのが普通である。さらに墳丘には、埴輪と呼ぶ土管状の焼き物をたて並べた古墳もある。埴輪の列が、一列とは限らず、二重三重にめぐらせた例さえある。