主体部 竪穴式石室 横穴式石室

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 遺骸は、こうした古墳のもっとも重要な位置、前方後円墳では後円部の中心、円墳ではその中心部に、丁重に葬られるのである。この埋葬されている部分を主体部といい、主体部の構造にはいろいろの種類がある。一番ていねいな場合は、墳頂に大きな壙を掘って、その底に円礫を敷きつめ中央に粘土床を作って遺骸の入った棺を安置し、棺を粘土で固定してから棺の周囲に石室を築きながら壙をしだいに埋めてゆき、一定の高さに四壁を積んだあと平たい石をのせて天井となし、天井石の上にさらに粘土を厚くのせてつき固め、最後に土をかぶせるというものである。これでは天井石を取りはずさない限りふたたび中へはいれないわけである。これを竪穴式石室という。【粘土槨】【直葬】この方法が簡略化されて、石室構築をはぶき粘土で棺を包むだけの場合を粘土槨、すべてはぶかれて棺だけの場合を直葬と呼んでいる。また、最初から出入口の設計された石室が作られて、天井石が架構され、これに土をかぶせて墳丘を作ったあと、石室の入口から中へ棺を運び入れるという方法が、新しい時期の古墳では盛行している。これは横穴式石室と呼ばれている。