さて、西暦四世紀代から七世紀代にいたる、ほぼ四百年間は、こうした各種の古墳が全国的に相ついで営まれた時代であった。巨大な墳丘に矮小な埋葬施設、豊富な副葬品、展望のきく立地、そうした古墳のあり方自体が、古墳を生み出した時代を象徴しているともいえよう。そこでこの前後四百年間を古墳時代と呼んでいるわけである。しかしながら古墳によって特色づけられる時代であったといっても、古墳時代の人間がすべて古墳に葬られたというのではなかった。むしろ古墳は、ごく限られた個人のためにだけ作られたともいえるのであって、他の多くの人々は、その埋葬された場所さえも今日なお明らかにされてはいない。したがって、古墳時代において、文化の恩恵にあずかった人たちは社会のごく一部の人に限られていたということなのである。