①磐田市新貝・松林山古墳 全長一一六・四メートルの前方後円墳で、後円部径六五メートル、高さ一二・八メートル、前方部幅四九メートル、高さ八・六メートル。磐田原台地の東南部東縁に長軸をほぼ東西に置き、後円部を平野に向けている。周濠・葺石(顕著でない)・埴輪もみとめられる。内部主体は後円部の地下約三メートルに天井石の面を置く、割石小口積みの竪穴式石室である。主体部の主軸は、古墳の長軸と直交している。石室の天井石の上には二〇センチほどの厚さに粘土がおおっていた。石室の大きさは内法で長さ七・九メートル、幅は南端で一・〇五メートル、北端で一・三メートル、天井の高さは一・六メートルである。床には一面に円礫が敷きつめられていた。石室内にはつぎのような副葬品が収まっていた。東北隅に水字貝製の釧一対、北壁から一~三メートルの範囲に鏡三面をはじめとする大刀身・剣身・玉類・碧玉製石釧・琴柱形石製品などの一括、南壁に接して短甲、西壁に沿って鉾身、中央辺に鉇・鎌・鏨・鉾身・鑿・斧頭・鉄鏃・銅鏃・剣身・巴形銅器などの武器農工具類、その北側に鏡一面、という配置になっていた。その立地からみて、松林山古墳は太田川流域に基盤をもっていた首長の墓と考えられる(後藤守一他『松林山古墳発掘調査報告書』)。