しかし、このような改革は決して一挙に実行に移されたものではない。実際には、旧来の中央・地方の諸豪族の持つ世襲的・封建領主的な特権を、徐々に政府の官僚としての諸特権にすり替えていくことによって、律令体制の実現が進められたもののようである。それは決して革命的な社会改革ではなく、政治的改革を目指したものであった。
この改革期における遠江の状況は、史料の欠如のために明らかでないが、大化元年(六四五)八月に行なわれた東国国司の任命派遣という事件は、遠江にも関係の深いことであったに相違ない。
改革の実施