国造軍

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 これらの兵力は、後世の軍団の制のような徴兵制によるものではなく、おそらく旧国造などの地方豪族の軍を基幹とするものであったろうが、乱の経過をみていくと、軍の動員はおおむね国司ー郡司(すなわち地方豪族)の系統で行なわれているようで、国司の軍事権はかなり強いようである。また、この時の国司はもちろん常駐の行政官であり、国郡の境界や、関所・駅路の制も整い、諸国司は倉の鍵や駅鈴を握っていたことが知られる。そしてその配下の郡司が旧国造クラスの地方豪族であることは疑いなく、このような体制を、大化改新の直後、国造たちの監督官として臨時に派遣された東国国司の姿と比べてみると、三十年たらずの間に、国郡の地方政治体制は急速に整備され、令制に大きく近づいていることが認められるであろう。