郡には郡司(ぐんじ)が置かれた。郡にもその大小によって大・上・中・下・小の五等級があり、大領(たいりょう)・少領(しょうりょう)・主政(しゅせい)・主帳(しゅちょう)という四等官の定員も等級に応じて差がある。国司が中央から派遣される任期交替制ーー任期にはいろいろ変遷もあったが大体四年とみてよいーーの官であるに対し、この郡司は、在地の有力者をもってこれに任ずるもので、原則として終身の任であった。土地の有力者といえば旧国造クラスの一族が選ばれることが多いのは当然であり、その地位は国司の一段下ではあっても、一郡の行政を終身担当するのであるから、その地域内での声望はまことに大きかったに相違ない。