以上の正規の諸負担のほかに、出挙(すいこ)といって、春に稲の貸しつけを受けて秋に五割(後に三割に減額)の利息をつけて返済する制度も発達し、この利息が諸国の財政支弁の基礎となったのであるが、国民が確実に官の支配下に掌握され、整然たる組織を通じて上述の諸負担を果たすならば、その結果として集積される品物や労働力の量は実に莫大なものとなることが想像されるであろう。大化改新の目指した国力の有効な集中という目的は、みごとに果たされたのである。
これまで述べて来た令制の地方政治組織の概要をもとにして、つぎには遠江国について考えてみよう。