【遠江の名】浜松市の現市域が遠江国に含まれることはいうまでもない。遠江国は東海道に属し、西は三河国に、東は駿河国に連なっている。遠江の名が元来は遠淡海(とほつあはうみ)であり、近淡海(ちかつあはうみ)に対する称であろうことは前に述べたが、これを遠江の二字であらわすことにしたのは、和銅六年(七一三)五月の風土記撰上の命令にも、諸国郡郷の名には好字を着けよとみえているような、好字二字をもって地名をあらわそうとする統一的な施策の結果であろう。
【大国】国の等級は、『静岡県史』に、天平十二年(七四〇)の遠江国浜名郡輸租(ゆそ)帳末尾の国司の署名にみえている国司の員数や位階を令規に照らして考えれば、遠江国は当時大国であったと推測してあるが、これはしたがうべき説であると思われる。