[浜名郡輸租帳]

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 一般に古代史は史料の量が少ないので、ごく大きな変化はたどれても、庶民の生活とか、地方の具体的な状況などはほとんど知ることができないのが普通である。しかし、浜松市に関しては、幸いに奈良の正倉院に天平十二年(七四〇)の『遠江国浜名郡輸租帳(ゆそちょう)』という文書が残されていて、当時の浜松市近辺の模様をある程度具体的に知ることができるのである。ではつぎにこの輸租帳の概略を説明し、あわせて他の文献にあらわれた遠江国の民政一般について触れてみよう。

天平十二年 遠江国浜名郡輸租帳 首部(正倉院文書)