浜名郡の総田数 不堪田 輸租田

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 【四断片】この輪租帳は、今日、四つの断片に分かれて残っているが、第一片は首部で、第一行に
 
 「浜名郡 式に依りて造る天平十二年輪租帳の事」
 
とあり、つづいて郡内の田の総量とその内訳が記されている。それによると、浜名郡の田は総計一〇八六町一段一四五歩で、そのうち、二二七町四段七一歩は不堪田(ふかんでん)という、荒れて役にたたない田である。残り八五八町七段七四歩が米が作れる田で、ここから田租が集まるのであるが、田には租を徴収しないたてまえの不輸租田(ふゆそでん)や、田租を納めず、賃租(ちんそ)といって小作に出し、収穫の約二割を地子(じし)として納める輸地子田などがあるので、輸租田は結局七五九町四段二一六歩であるが、これは郡司職田(しきでん)六町のほかは全部口分田である。