郷戸と房戸

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 令制では、五〇戸をもって一里を編成し、二里~二〇里をもって郡とする。この戸は、里の編成当初はやはり夫婦と子供たちを基幹とする単一家族の一家が基準とされたであろうが、年代がたつと、これらの家族も世代を重ねて大きくなって来るであろう。その場合、五〇戸一里の制限を守る以上は、もとの一戸は、親子兄弟や、それぞれの妻や子をも含むものとなり、実際には数個の宗族にわかれながらも、制度上はやはり一戸と数えられることになる。口分田の班給・調庸の徴集・労働力の徴発などは、すべて戸単位で行なわれるのであるが、戸の成員があまりに多く、家族構成も複雑になってくると、これらを十分に把握することはむずかしい。