農民の浮浪逃亡

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 このような過重な負担を逃れようとして起こるのが浮浪逃亡である。これは労役の出先から逃げて行くえをくらますのもあれば、戸籍・計帳で登録された故郷から離れて浮浪人となるものもあるが、すでに奈良時代の最初から頻繁に起こって政府はその対策に手をやいた。年代は少し下がるが、延暦二年(七八三)に伊勢国が自国に上下した公文書を列記して中央に報告した計会帳の断片には、遠江国の浮浪人に関して、尾張や伊賀に連絡したことがみえている。