式は令を実際に施行するにあたって、具体的な細則を規定した法令であり、おりにふれてその数が増加したが、これを官司別に集め、整理した最初のものが弘仁式であり、これに改訂を加えたのが貞観式であった。そしてもっとも完全に式を集大成し、しかも今日にその全文を伝えているものが有名なこの『延喜式』五十巻で、延長五年(九二七)に撰定されたものである。内容は何分にも中央諸官司の扱う諸般の行政事項について、具体的にその細部を規定しているのであるから、律令体制の姿をうかがうには絶好の史料であり、しかも非常に広範囲の事柄が扱ってあって、古代の何ごとを調べるにつけても第一に頼りにされる貴重なものである。