目次
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古代編
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第五章 平安時代の政治と社会
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第二節 軍事と交通
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延喜式と遠江の国勢
延喜式の信用度
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延喜式が作られたのは、ほぼ、例の奇怪な戸籍が作られたのと同じころである。この一事をもってしても、延喜式に記すところがそのまま現実の姿であったとは、なんとしても考えられないであろう。諸国の正税にしても、式には各国莫大な数量が掲げてあるが、実は到るところで正税が欠乏していることが文献にあらわれているし、調庸の賦課も、その方式が変わってきていると察せられる。加えて国司の欺瞞が横行しているのであるから、その実体は全くつかみがたいといわなければならない。