こうして池田庄は松尾神社領として成立したわけであるが、この池田庄から、神社にどれほどの物を納めたか、あるいは労役を提供したかということは、荘園各個に千差万別であるから、何ともいえない。ことに、古代荘園の形態は、権利関係が土地に対する権利と人に対する権利とにわかれ、しかもそれぞれ二重三重になっていて、複雑をきわめる。たとえば、甲の領内に住む者が、他の乙の領地を耕作していることも、その逆のこともある。
また、甲の地を耕して、地代は甲に納めるが、労役は別の領主である乙に提供するという場合もあり、到底一概にはいえない。また、荘園とても本来は国衙に納税すべきものであるが、これも荘園各個に減免の度合が異なる。